1. |
無何有の郷
02:31
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過去の日、制約
潔癖な心は大人になれないまま
何処へ向かう
あの日に死ねたらこんな阿責など
知らずに眠りについていたのかな
酷く哀しい
何処へも行けずに
還る場所すらも
亡くしてしまった
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2. |
トキワ
04:45
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二人で既存の理をぺしゃんこにした。静かに築いていった世界はあと少しで完成だったのに。大人になりたいという夢をいつの間にか叶えていた女の子は弾き出され男の子は泣き出した。
彼の生涯は疾うに無駄になっていたという事も知らず、健気にこれまでが報われるのだと笑っていた。
男の子は泣き止まない。何も無かった事にはならずこれ以上恥を曝し生きていられる訳もなく。
女の子は次から次へ頁をめくり生きていく。たった一人きりの国で男の子は泣き止まない。
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3. |
烏有に帰す
04:00
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妾は此処にいるのに貴方の生活は続いていく。
廃屋の営みを忘れたなんて云わせやしない。
貴方が「汚れている」と云った此の身一つで気高く生きていく。
貴方を想い続けるわ、此の命尽きるまで。
羽化して初めて心が求めた貴方だけを。
黒ずんだ瞳から小さな火の粉が零れ落ちた。
廃屋は焼死体を二つ残して灰になった。
嗚呼、忘れられたなら。。
失う物なんてたったの一つも無い。
此の手は汚れきっている。
貴方を想い続けるわ、真っ白な骨になっても、
此の子と想い続けるわ、だから憶えていてね。
貴方を追い続けるわ、地獄の果てへ逃げても。
妾は呪い続けるわ。
死んでしまっても憶えていてね。
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4. |
しずめて
03:28
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潮風に晒された関節はぎこちなく、
大切に閉まっていた思い出、錆び付いていく。
波飛沫が吹き付け、腐食が進行する。
誓いの鬢差しに火を点し煙を上げたわ。
向こう岸のあなたが気付いてくれるよう。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、忘れさせてよ、全部。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、思い出せぬよう。
縋るほどに饐えていく。不慥かな記憶まで。
二人で瓶に詰めた約束も海に投げたわ。
向こう岸のあなたはまだ気付いてくれない。
手元に残るのは頭にこびり付く錆の臭いだけ。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、忘れさせてよ、全部。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、思い出せぬよう。
錆が取れない、錆が取れない、どんなに剥がしたって。
錆が取れない、錆が取れない、もう剥がせないよ。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、忘れさせてよ、全部。
ぼくをしずめて、ぼくをしずめて、ぼくを殺してよ。
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5. |
ありがとう
02:57
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砂場で作ったお城は蹴り崩されていた。
砂山の隣に花と素敵なメロディ添えられていた。
針を千本飲んだ事も小指切ったのも忘れてた。
ぼくのあたまはこんなんだからあなたの歌声も忘れる。
全部忘れてしまうのにね。
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6. |
hitoto
02:57
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拐って
何処か遠くへ
何も訊かず連れていって
もう見たくない聞きたくない
これ以上堪えられない
どうして?
どうして忘れていた
あんなにも大切だったのに
殺して、いっその事さ
あの日に戻れないなら
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7. |
給水タンク
04:52
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少女は立ち入り禁止の屋上で給水タンク眺めている。ドヴォルザークの「家路」が流れても一人ぼっちで眺めている。
階段室の屋根に腰掛けながら亡霊はいつも見ていた。給水タンクに手を掛け項垂れる少女の姿をいつも見ていた。
給水タンクの中で遂に腐った約束にジニアを供え、階段室の方へ振り返り彼女はぽそりと口を開く。
「きっと赦してね、お願いよ。きっと殺してね、お願いよ。本当に御免なさい。今更狡いなんて事、百も承知だから、きっと、お願いよ。」
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8. |
hiraeth
04:09
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おはよう、ぼくの知らない命。
きみにはまだ名前は疎か、身体すら無い。
此の景色を見たなら何を想っただろう。
此処で一緒に生きていたなら笑っていただろうか。
死んでしまいたくなる度に麻酔を打ち、騙し騙し生き存えてきたけど、
辿り着けない、いつ迄経っても。
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